Activist Journal — EDINET 大量保有報告モニター

戸田工業株式会社 (4100)

戸田工業は機能性顔料と電子素材の製造・販売を主軸とする。電子素材では、自動車モーター・センサー向けボンド磁石材料、MLCC用誘電体材料、インダクター用軟磁性材料を展開する。独自の湿式合成法による微粒子合成技術や高耐食性希土類磁石の表面処理技術、国内外の特許を競争優位性とする。EV化やAIサーバー向け需要を成長ドライバーとし、環境関連材料の事業化も推進する。グローバル生産体制を構築する。 [本社]広島県広島市 [創業]1823年 [上場]1983年

### 1. 事業概要と競争優位性

戸田工業は機能性顔料と電子素材の製造・販売を主たる業務とする。機能性顔料事業は磁性粉末材料や各種着色材料等を、電子素材事業はフェライトコンパウンド・フェライト材料、射出成型磁石、リチウムイオン電池用正極材料の前駆体・正極材料等を製造・販売する。子会社15社、関連会社4社、その他の関係会社1社で構成する。

競争優位性として、技術的優位性とノウハウ蓄積を持つ。磁石材料では、軽量で高い寸法精度や形状自由度を持つボンド磁石及びその材料を製造・販売する。高耐食性希土類ボンド磁石材料は独自の表面処理技術により高耐食性を実現する。誘電体材料では、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の主要材料である誘電体材料「チタン酸バリウム」を製造する。湿式合成法を用いた独自の微粒子合成技術を活用し、150nm以下の微粒子に特化した製品を開発・製造する。軟磁性材料では、顧客ニーズに応える様々な磁気特性・粒子サイズのメタル系磁性粉を供給する。研究開発活動は創造本部を中心に顧客ニーズに即応する商品開発と次世代商品の開発を行い、社外連携も進める。国内291件、海外501件の特許を所有し、出願・審査中の件数は海外を含めると195件に上る。これは技術的優位性と参入障壁を形成する。酸化鉄で培った微粒子合成技術を深化させ、多様な素材やソリューションを提供する。グローバルな生産体制を構築し、安定供給を実現する。

### 2. 沿革ハイライト

戸田工業は1823年(文政6年)に弁柄製造を開始し、1933年11月に戸田工業株式会社を設立した。1983年9月東京証券取引所市場第1部(現プライム市場)に指定された。1984年12月にはフェライト材料の大竹工場を新設し、電子素材分野を強化する。1990年代以降、ドイツ、アメリカ、中国、韓国、カナダ、タイに海外拠点を設立し、グローバル展開を加速した。2008年3月にはアルゴンヌ国立研究所からリチウムイオン電池用正極材料の特許ライセンスを取得し、電池材料分野へ進出した。2015年2月にはBASFジャパンとの合弁会社「BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社」を設立した。2021年8月には中国の射出成形磁石メーカーである江門協立磁業高科技有限公司を連結子会社化し、川下領域を強化した。2023年10月、東京証券取引所のスタンダード市場に移行した。

### 3. 収益・成長

当社グループは中期経営計画「Vision2026」を策定し、事業ポートフォリオマネジメントの強化を通じて事業成長を図る。成長ドライバーは、磁石材料、誘電体材料、LIB用材料である。磁石材料は自動車のモーターやセンサー用途、EV化に伴う冷却ポンプモーター向けの需要増加が期待される。誘電体材料は、MLCC市場の高周波化、小型化、高容量化ニーズ、AIサーバー向け需要回復が成長を牽引する。次世代事業として軟磁性材料、環境関連材料を位置付ける。軟磁性材料は、自動車やICT分野におけるインダクター市場の拡大、電源モジュール小型化・大電流化、メタル系材料へのシフトが成長機会となる。環境関連材料は、CO₂分離回収材料やCO₂フリー水素・CNT製造技術の開発・事業化により、新たな収益源を創出する。これらは2028年3月期までの事業化、2031年3月期に売上高10億円、営業利益率10%の事業規模への成長を見込む。M&A戦略として、韓国の「戸田マテリアルズ株式会社」や中国の江門協立磁業高科技有限公司の連結子会社化を通じて事業拡大を図る。

一方で、LIB用前駆体材料事業はEV市場の成長鈍化により受注が急減し、子会社「戸田アドバンストマテリアルズInc.」の解散・清算を進めることで損失減少を見込む。着色顔料・トナー用材料及びハイドロタルサイトも需要減少とコスト上昇により課題が顕在化しており、価格是正や原価低減等の合理化活動を推進する。

### 4. 財務健全性

「Vision2026」において、財務基盤の安定と資本効率を意識した事業運営を推進するため、営業利益率、ROE、自己資本比率、運転資本回転期間をKPIとして設定する。当期は特別損失の計上なども影響し、KPIは未達となった。今後、収益力の強化に向けた活動に取り組み、利益創出による財務基盤の改善を図る。キャッシュ・フローの改善にも注力し、棚卸資産の適正化を進め、在庫回転期間の短縮を実現する。有利子負債はprior1期25,729百万円、current期27,315百万円である。現金及び現金同等物はprior1期8,476百万円、current期7,943百万円である。

### 5. 株主還元

当社は安定的な配当を継続することを最も重要視する。しかし、現時点では安定配当を実施するための基盤が未だ整っていないことから、配当を見送る判断をした。「Vision2026」の期間において復配に向けた体制の整備に注力し、安定的に利益還元が可能となるよう取り組む。

### 6. 注目ポイント

戸田工業は、酸化鉄で培った微粒子合成技術を基盤に、機能性顔料と電子素材の二つの事業セグメントを展開する。電子素材分野では、EV化やAIサーバー向け需要を背景に、磁石材料や誘電体材料が成長ドライバーとなる。独自の湿式合成法や表面処理技術、豊富な特許が技術的優位性を確立し、グローバルな生産体制とM&A戦略で市場拡大を図る。環境関連材料の事業化は、温室効果ガスを資源化する取り組みとして、将来の新たな収益源となる可能性を秘める。一方で、LIB用前駆体材料事業の合理化や機能性顔料の一部事業の収益改善が課題であり、中期経営計画「Vision2026」における事業ポートフォリオマネジメントの実行力が今後の成長を左右する。

出典: 有価証券報告書 (2025-03) | 生成: gemini-2.5-flash (2026-03-21)

主要指標

時価総額 PER PBR 配当利回り 終値
8.1B 0.7倍 1,329.0円

業績(3期)

current prior1 prior2
売上高 31.7B 26.2B 34.9B
営業利益 -648M 117M 1.4B
純利益 -3.6B -3.6B 3.3B
EPS -616.4 -620.0 566.5
BPS 1,905.0 2,399.2 2,744.4

大株主

株主名持株比率
TDK株式会社0.22%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)0.08%
株式会社広島銀行0.04%
株式会社日本カストディ銀行(三井住友銀行再信託分・TDK株式会社退職給付信託口)0.03%
堤 浩二0.03%
高橋 由紀子0.02%
CREDIT SUISSE AG (常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)0.02%
UBS AG SINGAPORE (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ)0.01%
横田 芳紀0.01%
明治安田生命保険相互会社0.01%

カタリスト・タイムライン

日付ソースカテゴリアクターイベント株価翌日
2026-02-26TDNet新規事業戸田工持分法適用関連会社の持分譲渡及び合弁解消に関するお知らせ1,520+4.28%
2026-02-09TDNet決算戸田工2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)1,477-6.91%
2026-02-09TDNetその他戸田工営業外費用の計上に関するお知らせ1,477-6.91%
2025-11-11TDNet決算戸田工2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)1,398-14.74%
2025-11-11TDNet業績修正戸田工営業外費用の計上及び2026年3月期第2四半期(中間期)業績予想と実績との差異並びに通期連結業績予想1,398-14.74%