### 1. 事業概要と競争優位性
モビルス株式会社は、「CX-Branding Tech.」をミッションに、コンタクトセンター向けSaaSソリューションとプロフェッショナルサービスを提供する。SaaSソリューションは、問い合わせチャネル多様化の「モビシリーズ」、オペレータ業務をAIで支援する「MooAシリーズ」、消費者向けAI自動応答の「maestra」の3つの柱で構成する。プロフェッショナルサービスでは、導入サポート、カスタマイズ開発、コンサルティングなどを展開する。
**競争優位性(Moat)と参入障壁**
同社は、大規模コンタクトセンターのオペレーション効率化に特化した技術的優位性を持つ。大企業が開発プロセスに参画し、大規模運用に最適な仕様を開発する。独自開発のオペレーション支援AI「ムーア(MooA)」は、生成AIや独自のAI技術を取り入れ、高速・高精度な音声通話文字起こし、回答案生成、応対内容の要約・意図抽出を可能にし、オペレータの負担軽減と業務効率化を促進する。AI精度を左右する教師データメンテナンス機能や、個人情報を安全に扱う「セキュリティスイート」も提供する。
顧客ロックイン構造として、SaaSプロダクト提供に加え、初期導入から運用後のコンサルティング、カスタマイズ開発、AI教師データ作成、生成AIプロンプトチューニングなど、コンタクトセンター運営ノウハウを熟知したメンバーによる包括的なカスタマーサクセス支援を展開する。これにより、顧客のROI最大化を追求し、高いスイッチングコストを構築する。
市場アクセスにおいては、直販に加え、40社を超える販売代理店、およびテクマトリックス、トランス・コスモス、富士通へのOEM供給という多角的な商流網を構築する。特に、BPO企業のシェアトップ上位10社中8社が同社のセールスパートナーであり、金融、メーカー、官公庁・自治体など多様な業種の大企業・先進プレーヤーへの導入実績を持つ。これは、ニッチ市場における支配的地位と強力なネットワーク効果を示す。
**ビジネスモデルの質**
同社のビジネスモデルは、クラウド環境で提供されるSaaS型サブスクリプション収益を中核とする。利用者は月額または年額でサービスを利用し、導入コスト低減と常に最新ソフトウェア利用が可能となる。サブスクリプション売上高は継続的に増加し、売上高全体に占める割合は2025年8月期に74%に上昇した。契約当たりの平均単価も2024年8月期第1四半期の216千円から2025年8月期第4四半期には295千円に増加傾向を示す。直近12ヶ月平均解約率は2025年8月期第4四半期で0.63%と低い水準を維持し、安定したリカーリング収益基盤を確立する。
### 2. 沿革ハイライト
モビルスは2011年9月に設立された。2016年4月「モビエージェント」サービス開始。2017年3月トランス・コスモス、2018年1月富士通とOEM契約締結。2019年10月「モビボイス」サービス開始。2021年9月東証マザーズ市場(現グロース市場)に上場。2024年1月テクマトリックスと資本業務提携。2024年11月「MooA CommNavi」サービス開始。2025年4月トランス・コスモスとの合弁で連結子会社vottia株式会社を設立し、AIエージェントサービス「maestra」の提供を開始した。
### 3. 収益・成長
同社の成長ドライバーは、CRMソリューション市場(2027年度まで年平均成長率9.3%予測)およびコンタクトセンター向けBPOサービス市場の拡大にある。人手不足やDX化ニーズの高まりが市場を牽引する。同社は生成AI技術活用を中核とした成長戦略を推進する。
既存事業ドメインでは、顧客単価向上と顧客数拡大を図る。サブスクリプション型リカーリングレベニューの継続的成長を基本方針とし、金融機関や大企業をターゲットに、コンサルティングとソリューション提供を通じて、ノンボイス対応比率上昇や生成AI活用による応対業務の自動化・高度化をサポートする。大型シンボリック案件創出と横展開により契約数拡大を目指し、営業体制・代理店商流・カスタマーサクセス活動を強化する。
生成AIを活用したオペレータ支援機能(MooA)およびユーザー向け自動応対機能(モビボット、モビボイス、maestra)の提供を強化する。生成AI技術の飛躍的向上はコンタクトセンター業務自動化の可能性を広げ、同社はこの急速に市場拡大が見込まれる生成AI型自動化ソリューション市場での成長を追求する。さらに、VOCデータをAI技術で活用し、カスタマーエクスペリエンス領域での新規事業拡大も視野に入れる。
### 4. 財務健全性
同社の財務状況は健全である。2025年8月期末時点の現金及び現金同等物は1,039,144千円に対し、有利子負債は305,548千円であり、ネットキャッシュは潤沢である。総資産2,229,192千円に対し、純資産は1,452,846千円であり、自己資本比率は65.17%と高く、強固な財務基盤を維持する。当連結会計年度の設備投資総額は454,934千円であり、主な内容はソフトウエアの開発である。
### 5. 株主還元
同社は、設立以来配当を実施した実績はない。株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しつつも、現在は成長過程にあり、財務基盤強化のため内部留保の充実を優先することが株主価値向上に繋がるとの考えから、現時点での配当実施の可能性及び時期は未定とする。
### 6. 注目ポイント
モビルスは、コンタクトセンターのDX化と生成AI活用という成長市場において、大規模コンタクトセンターに特化した技術力、包括的なカスタマーサクセス、BPO業界トップ企業との強固なパートナーシップ網を競争優位性として確立する。SaaS型サブスクリプションモデルによるサブスクリプション売上高比率の高さ(74%)と低い解約率(0.63%)は、安定した収益基盤と顧客ロックインの強さを示す。生成AI関連ソリューションへの積極的な投資と、大型案件獲得による顧客単価向上・顧客数拡大戦略は、中長期的な成長ドライバーとなる。CRMソリューション市場の拡大とコンタクトセンターの人手不足という外部環境も、同社の事業成長を後押しする。強固な財務基盤も特筆すべき点である。
| 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2.3B | 24.7倍 | 1.7倍 | — | 378.0円 |
| current | prior1 | prior2 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.9B | 1.5B | 1.6B |
| 営業利益 | 91M | -352M | -157M |
| 純利益 | 91M | -732M | -182M |
| EPS | 15.3 | -125.2 | -31.2 |
| BPS | 227.5 | 211.4 | 333.7 |
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| テクマトリックス株式会社 | 0.28% |
| 阮 明徳 | 0.07% |
| グローバル・イノベーション・ファンドⅢ | 0.06% |
| トランス・コスモス株式会社 | 0.06% |
| 長澤 信治 | 0.06% |
| 徳山 教助 | 0.03% |
| 石井 智宏 | 0.03% |
| 楽天証券株式会社 | 0.02% |
| 株式会社SBI証券 | 0.02% |
| 井上 有二 | 0.02% |
| 日付 | 提出者 | 保有割合 | 変動 |
|---|---|---|---|
| 2026-01-07 | 阮明徳 | 6.22% | (1.00%) |
| 2026-01-05 | 阮明徳 | 6.22% | (1.00%) |
| 2025-03-21 | 長澤 信治 | 5.01% | +5.01% |
| 2024-06-14 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ | 4.81% | (1.61%) |
| 2024-03-13 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ | 6.42% | (1.49%) |
| 2024-03-12 | HOANG LAN | 0.00% | (21.85%) |
| 2024-03-06 | テクマトリックス株式会社 | 28.75% | +20.02% |
| 2024-02-02 | エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 | 0.00% | (9.36%) |
| 2024-01-25 | エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 | 0.00% | (9.36%) |
| 2024-01-22 | テクマトリックス株式会社 | 8.73% | +3.73% |
| 2022-06-10 | 石井 智宏 | 5.01% | +0.01% |
| 2021-12-07 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ | 7.91% | (0.23%) |
| 2021-09-17 | HOANG LAN | 21.85% | (1.24%) |
| 2021-09-15 | エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 | 9.36% | +4.36% |
| 2021-09-13 | HOANG LAN | 25.92% | (2.48%) |
| 2021-09-13 | HOANG LAN | 24.88% | (1.04%) |
| 2021-09-13 | HOANG LAN | 23.09% | (1.79%) |
| 2021-09-10 | HOANG LAN | 23.10% | +18.10% |
| 2021-09-09 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ | 8.14% | +8.14% |
| 2021-09-09 | 阮明徳 | 7.22% | +2.22% |
| 日付 | ソース | カテゴリ | アクター | イベント | 株価 | 翌日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-02-27 | TDNet | 資本政策 | G-モビルス | 連結子会社vottiaによる増資に関するお知らせ | 391 | -2.56% |
| 2026-01-07 | EDINET | 大量保有 | 阮明徳 | 大量保有 6.22% | 398 | -1.76% |
| 2026-01-05 | EDINET | 大量保有 | 阮明徳 | 大量保有 6.22% | 380 | +2.37% |
| 2025-11-28 | TDNet | 事業計画 | G-モビルス | 事業計画及び成長可能性に関する事項 | 398 | -0.75% |
| 2025-11-27 | TDNet | その他 | G-モビルス | 譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に関するお知らせ | 374 | +6.42% |
| 2025-11-27 | TDNet | その他 | G-モビルス | 支配株主等(その他の関係会社)に関する事項について | 374 | +6.42% |
| 2025-10-31 | TDNet | 資本政策 | G-モビルス | 有償ストック・オプション(新株予約権)の発行内容確定に関するお知らせ | 364 | +0.55% |
| 2025-10-10 | TDNet | 決算 | G-モビルス | 2025年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結) | 597 | -16.75% |
| 2025-10-10 | TDNet | IR | G-モビルス | 2025年8月期 決算説明資料 | 597 | -16.75% |
| 2025-10-10 | TDNet | その他 | G-モビルス | 個別業績の前期実績値との差異に関するお知らせ | 597 | -16.75% |
| 2025-10-10 | TDNet | その他 | G-モビルス | 譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に関するお知らせ | 597 | -16.75% |
| 2025-10-10 | TDNet | 資本政策 | G-モビルス | 有償ストック・オプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ | 597 | -16.75% |
| 2025-09-22 | TDNet | 業績修正 | G-モビルス | 通期連結業績予想の修正に関するお知らせ | 586 | -7.17% |
| 2025-07-11 | TDNet | 決算 | G-モビルス | 2025年8月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結) | 400 | +3.00% |
| 2025-07-11 | TDNet | IR | G-モビルス | 2025年8月期 第3四半期決算説明資料 | 400 | +3.00% |
| 2025-03-21 | EDINET | 大量保有 | 長澤 信治 | 大量保有 5.01% | 310 | -1.61% |
| 2024-06-14 | EDINET | 大量保有 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グルー | 大量保有 4.81% | — | — |
| 2024-03-13 | EDINET | 大量保有 | 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グルー | 大量保有 6.42% | — | — |
| 2024-03-12 | EDINET | 大量保有 | HOANG LAN | 変更 | — | — |
| 2024-03-06 | EDINET | 大量保有 | テクマトリックス株式会社 | 大量保有 28.75% | — | — |