オンコセラピー・サイエンス株式会社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長中村祐輔教授の研究成果を事業化するため2001年4月に設立された研究開発型ベンチャー企業である。同教授の成果は現在も研究開発活動の基盤を形成する。主要事業は医薬品の研究開発とがんプレシジョン医療関連事業である。
医薬品の研究開発では、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析を実施し、がん治療薬開発に適した多くの標的分子を同定する。これらの標的に対し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を積極的に展開し、複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を複数有する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染制御及び重症化抑制を目指したペプチドワクチンの研究開発にも着手し、特許出願を完了する。
競争優位性(Moat)は、以下の技術的優位性に基づく。第一に、LMM法(Laser Microbeam Microdissection)による高精度ながん細胞分離技術により、ほぼ100%の純度のがん細胞分離を可能にし、解析結果の正確性を向上させる。第二に、独自開発のcDNAマイクロアレイは32,000種類の遺伝子を網羅し、ヒトの細胞内での実際の遺伝子発現に近い状態で、かつ機能が未知の遺伝子まで解析できる。cDNA利用により再現性にも優れる。第三に、特定された候補遺伝子とがんとの関連を複数の実験により検証する解析スキームは、がん細胞に特異的で副作用の少ない抗がん剤開発に結びつくシーズを提供する。第四に、自社で設計した新規の化学構造を有する独自の化合物ライブラリと、がんのみならず数多くのゲノム創薬に基づく創薬ターゲットを所有する。2025年3月31日現在、全世界で485件の特許を取得し、知的財産戦略を推進する。これらの技術は、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であると認識しており、高い参入障壁を形成する。
がんプレシジョン医療関連事業では、株式会社Cancer Precision Medicine(CPM社)を連結子会社として設立し、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を実施する。CPM社は次世代シーケンス解析サービスを行う韓国のTheragen Bio Co., Ltd.との資本・業務提携による合弁会社である。がん細胞での遺伝子の網羅的な解析を利用し、がんの早期診断や患者一人ひとりの遺伝子情報に基づいた治療薬・治療法の選択、新規免疫療法への応用を目指す。
ビジネスモデルの質として、医薬品の研究開発における収益は、製薬企業等との提携契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン、及び医薬品上市後のロイヤリティを段階的に受領する形態である。これは医薬品開発の多大な研究開発費と高いリスクに起因する。収益計上は提携先の研究開発進捗や医薬品発売・販売状況に依存し、長期間を要する可能性や変動が大きい傾向がある。がんプレシジョン医療関連事業における解析サービスは、受託検査による収入を計上し、収益基盤の安定化に寄与する可能性を持つ。
2001年4月、がん関連遺伝子及び遺伝子産物を利用したがん治療薬等の研究開発を目的として東京都港区芝に設立する。同年5月、東京大学医科学研究所と共同研究を開始する。2003年12月、東京証券取引所マザーズ市場に上場する。2005年3月、本社及び本社ラボ施設を神奈川県川崎市高津区に移転し、創薬研究所を開設する。2017年7月、がん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を目的として、連結子会社となる株式会社Cancer Precision Medicine(CPM社)を設立する。同年8月、Theragen Bio Co., Ltd.(韓国)の資本参加・業務提携によりCPM社を合弁会社化する。同年11月、当社の腫瘍免疫解析部を会社分割によりCPM社に承継する。2022年4月、東京証券取引所の市場区分の見直しにより、マザーズ市場からグロース市場に移行する。2023年1月、本店及び研究開発拠点を神奈川県川崎市川崎区に移転する。
当社グループの成長ドライバーは、抗がん剤市場の拡大と新規事業領域への展開である。抗がん剤市場は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、今後も拡大すると予測する。
新市場・新製品の創出として、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の各領域で臨床応用を目指した創薬研究を推進する。特に、低分子医薬ではリン酸化酵素を標的とする医薬品候補化合物の臨床試験を実施中であり、in vivoで強力な腫瘍増殖抑制効果を示す複数の高活性化合物を同定する。また、臓器線維症治療標的として有望なキナーゼ阻害化合物のライセンスアウトを目標に研究を実施し、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)と共同研究契約を締結する。NIBIOHNとはAIを活用した創薬基盤の開発と応用、及びがん抑制因子活性化創薬に関する共同研究も進める。
がんプレシジョン医療関連事業では、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全ゲノムシーケンス解析、ネオアンチゲン解析、リキッドバイオプシー等)や、新規がん遺伝子パネル検査の開発、ネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究を推進する。
提携戦略も成長に不可欠と認識する。新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、臨床開発の側面支援・後方支援を強化する方針である。これにより、製品化の可能性を極大化しつつ、資金的なリスクを合理的なレベルに抑えることを目指す。
研究開発型企業として、当連結会計年度における研究開発費は491百万円を計上する。今後も臨床試験の進展や拡大、自社創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組みにより研究開発費が増加する見込みである。収益源となる製薬企業との新たな提携契約締結、共同研究、公的機関による補助・助成制度の活用等により、経費負担を軽減し、経営の安定を図りながら事業を推進する。
当社グループは、2025年3月期末において、現金及び現金同等物を833,883千円保有する。有利子負債は0円であり、実質無借金経営を維持する。総資産は1,155,203千円、純資産は729,111千円である。研究開発型企業であるため、多額の研究開発費を継続的に投入する必要があり、収益計上が長期にわたる可能性や業績変動リスクを課題として認識する。これに対し、がんプレシジョン医療関連事業への経営資源集約による経営基盤の安定化、「医薬品の研究及び開発」における早期ライセンスアウトの企図、資金状況に合わせた開発計画の実行、適時適切な資金調達の実施を対応策とする。
当社グループは、当連結会計年度において年間配当を実施していない。財務データ上、自社株買いは100円である。研究開発型企業として、現時点では事業成長のための研究開発投資を優先する方針である。
当社グループの最大の注目ポイントは、元東京大学医科学研究所中村祐輔教授の研究成果を基盤とした、がん治療薬開発における独自の技術的優位性である。LMM法による高精度ながん細胞分離、独自開発のcDNAマイクロアレイ、がん関連遺伝子解析スキームは、他社が模倣困難な参入障壁を形成する。また、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬といった多様な創薬アプローチを展開し、全世界で485件の特許を保有する知的財産戦略も強みである。
さらに、がんプレシジョン医療関連事業への積極的な注力は、抗がん剤市場の拡大トレンドを捉える成長ドライバーとなる。韓国Theragen Bio Co., Ltd.との合弁によるCPM社を通じた大規模解析検査や免疫療法研究開発は、個別化医療の進展に貢献する。製薬企業や研究機関との戦略的提携により、研究開発リスクを分散しつつ、製品化のスピードと可能性を最大化する経営方針も注目される。
| 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 6.2B | — | 9.5倍 | — | 23.0円 |
| current | prior1 | prior2 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 750M | 610M | 1.1B |
| 営業利益 | -798M | -1.1B | -1.1B |
| 純利益 | -815M | -1.3B | -1.1B |
| EPS | -3.1 | -6.0 | -5.8 |
| BPS | 2.4 | 1.3 | 4.0 |
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中村 祐輔 | 0.05% |
| 特定有価証券信託受託者 株式会社SMBC信託銀行 | 0.03% |
| 中鶴 修一 | 0.02% |
| 楽天証券株式会社 | 0.01% |
| 古川 洋一 | 0.01% |
| 荒川 博文 | 0.01% |
| BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNY GCM CLIENT ACCOUNTS M LSCB RD (常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行) | 0.01% |
| 浅井 真一 | 0.01% |
| 鈴木 克己 | 0.00% |
| 野村證券株式会社 | 0.00% |
| 日付 | ソース | カテゴリ | アクター | イベント | 株価 | 翌日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-03-06 | TDNet | 資本政策 | G-OTS | 新株予約権引受契約に基づく第38回新株予約権(行使価額修正条項付)の行使停止要請通知に関するお知らせ | 21 | +0.00% |
| 2026-03-02 | TDNet | 資本政策 | G-OTS | 第三者割当による第38回新株予約権(行使価額修正条項付)の月間行使状況に関するお知らせ | 21 | +0.00% |
| 2026-02-06 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 10.61% | 20 | +0.00% |
| 2026-02-06 | TDNet | 決算 | G-OTS | 2026年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結) | 20 | +0.00% |
| 2026-02-06 | TDNet | その他 | G-OTS | 営業外費用の発生に関するお知らせ | 20 | +0.00% |
| 2026-01-30 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 11.42% | 20 | +0.00% |
| 2026-01-14 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 12.56% | 22 | +4.55% |
| 2026-01-05 | TDNet | 資本政策 | G-OTS | 第三者割当による第38回新株予約権(行使価額修正条項付)の月間行使状況に関するお知らせ | 21 | +0.00% |
| 2025-12-26 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 13.6% | 20 | +0.00% |
| 2025-12-24 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 15.26% | 21 | +0.00% |
| 2025-12-24 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 13.7% | 21 | +0.00% |
| 2025-12-23 | TDNet | 資本政策 | G-OTS | 第三者割当による第38回新株予約権(行使価額修正条項付)の大量行使に関するお知らせ | — | — |
| 2025-12-19 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 17.63% | 20 | +0.00% |
| 2025-12-19 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 16.44% | 20 | +0.00% |
| 2025-12-15 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 18.81% | 21 | +0.00% |
| 2025-12-15 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 17.63% | 21 | +0.00% |
| 2025-12-15 | TDNet | 資本政策 | G-OTS | 第三者割当による第38回新株予約権(行使価額修正条項付)の大量行使に関するお知らせ | 21 | +0.00% |
| 2025-12-12 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 18.81% | 21 | +0.00% |
| 2025-12-10 | EDINET | 大量保有 | Long Corridor Asset | 大量保有 18.81% | 22 | +0.00% |
| 2025-12-08 | TDNet | 資本政策 | G-OTS | 第三者割当による新株式及び第38回新株予約権(行使価額修正条項付)の払込完了に関するお知らせ | 20 | +0.00% |