**1. 事業概要と競争優位性**
JX金属株式会社グループは、半導体・情報通信分野に不可欠な銅やレアメタルを原料とする先端素材の開発・製造・販売をグローバルに展開する。銅やレアメタルの資源開発、製錬・リサイクル事業も手掛け、上流から下流までをつなぐ強固なサプライチェーンを構築する。事業は「半導体材料」「情報通信材料」のフォーカス事業と、「基礎材料」のベース事業で構成され、フォーカス事業を成長戦略のコアと位置づけ、先端素材分野での技術の差別化や市場創造を通じて市場成長以上の利益成長を目指す。
半導体材料セグメントでは、半導体用スパッタリングターゲットが主力製品であり、市場規模1,462億円のマーケットにおいて世界シェア64%を占める。特に、銅、タンタル、チタン、コバルト、タングステンの製品で世界シェアNo.1の地位を確立する。競争優位性(Moat)は、9N銅の高純度化技術、組成・組織制御技術、表面制御技術、分析評価技術といったコア技術に裏打ちされる。半導体製造装置メーカーとの長年の協業により、多くの製品が標準材料として指定され、安定的な受注に繋がる顧客ロックイン構造を構築する。Intel社EPIC Distinguished Supplier Awardを4年連続、TSMC社Excellent Performance Awardを受賞する。生産体制は、米国、台湾、韓国に機械加工拠点を有し、安定的かつ素早い製品供給体制を構築する。タンタル・ニオブ事業では、Mibra鉱山参画と東京電解株式会社買収により、半導体用タンタルスパッタリングターゲットの上流から下流まで一気通貫で安定的に供給する体制を確立する。
情報通信材料セグメントでは、圧延銅箔、チタン銅、コルソン合金などの銅合金を取り扱う。主力製品である圧延銅箔は、スマートフォンやウェアラブル端末、モビリティ分野のハイエンドなフレキシブル回路基板(FPC)に用いられ、市場規模405億円のマーケットにおいて78%の世界シェアを誇り、1stベンダーとしての地位を確保する。圧延銅箔の技術優位性は、屈曲性・耐久性を飛躍的に向上させたHA箔にあり、独自の薄箔製造ノウハウ(6μm)を持つ。エンドユーザーと20年以上にわたる強固な関係を構築し、材料指定による安定受注を実現する顧客ロックイン構造を持つ。
参入障壁としては、長年にわたる高度なコア技術の蓄積、半導体用スパッタリングターゲットの生産能力を2028年3月期に2024年3月期対比で約1.6倍とする積極的な設備投資規模、そして半導体製造装置メーカーやエンドユーザーとの強固な関係による顧客ロックイン構造が挙げられる。
**2. 沿革ハイライト**
当社グループは1905年の日立鉱山操業開始に端を発し、1929年に日本鉱業株式会社を設立する。2002年に新日鉱ホールディングス株式会社(現 JX金属株式会社)を設立し、2016年にJX金属株式会社へ商号変更する。2018年には東邦チタニウム株式会社、TANIOBIS GmbHを子会社化しレアメタル事業を強化。2024年にはタツタ電線株式会社を完全子会社化し、三菱商事株式会社との合弁会社JX金属サーキュラーソリューションズ株式会社を設立する。2025年3月には東京証券取引所プライム市場に株式を上場する。
**3. 収益・成長**
当社グループは「技術立脚型企業」への転身を基本方針とし、フォーカス事業において市場成長以上の利益成長を目指す。
成長ドライバーとして、半導体ロジック・メモリ市場は生成AIの伸長や電気自動車等の普及拡大により、2023年から2027年にかけて年率7.1%の成長が予想される。特に最先端ロジック(5nm世代以降)は年率36.9%の高い成長が見込まれ、半導体用スパッタリングターゲットの使用量増加が期待される。AIサーバの出荷台数も2023年から2028年にかけて年率30.2%の成長、データセンター向けGPU出荷数量は2023年から2027年にかけて年率42.4%の成長が予想され、半導体材料セグメントの収益拡大の追い風となる。情報通信材料セグメントでは、FPCの面積が2024年から2029年にかけて年率7.8%の成長が予想され、AI搭載スマートフォンやパソコンの小型化・高機能化、ウェアラブル端末市場の成長、EV販売台数増加が圧延銅箔の使用拡大を牽引する。
新規事業・製品開発では、次世代半導体材料として期待されるCVD・ALD材料の本格供給に向け、生産設備及び開発設備投資を決定し、生産能力を増強する。結晶材料(InP、CdZnTe)の事業規模拡大も図る。また、先端パッケージング分野における新規事業育成のため「先端パッケージ材料事業推進室」を設置し、高機能な材料開発を推進する。M&Aやスタートアップへの出資も積極的に行う。
サーキュラーエコノミー実現に向けた取り組みも強化し、世界規模のリサイクル原料集荷体制を整備。三菱商事との合弁会社JX金属サーキュラーソリューションズ株式会社を通じ、リサイクル原料の集荷強化やプロセス変革・デジタル化を推進する。設備投資としては、半導体用スパッタリングターゲットの生産能力を2028年3月期に2024年3月期対比で約1.6倍とすることを目指し、磯原工場、メサ工場、日立北工場等への積極的な投資を行う。
**4. 財務健全性**
2025年3月期末の連結総資産は1兆2,830億2百万円、純資産は6,152億9千7百万円である。有利子負債は2,177億1千7百万円、現金及び現金同等物は583億1千6百万円を保有する。当社は「構造改革プロジェクト」を実行し、2024年3月期には約30億円の営業利益改善、約200億円の運転資本改善、約550億円の投資額削減を実現した。
**5. 株主還元**
2025年3月期の年間配当額は109.55円である。
**6. 注目ポイント**
JX金属は、半導体・情報通信材料分野におけるグローバルリーダーとして、高純度化、組成・組織制御等のコア技術を基盤に、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔で高い世界シェアを維持する。生成AI、EV、データセンターといった高成長市場の需要を捕捉するため、次世代半導体材料の開発とグローバル生産体制の構築に積極的な投資を行う。また、脱炭素・循環型社会への貢献を目指し、サーキュラーエコノミーへの取り組みを強化する。M&Aやスタートアップ投資を通じた新規事業創出も推進し、持続的な成長と高収益体質への転換を図る。
| 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 3517.0B | 51.5倍 | 8.0倍 | 0.0% | 3,788.0円 |
| current | prior1 | prior2 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 379.4B | 291.4B | 319.9B |
| 営業利益 | 112.5B | 86.2B | — |
| 純利益 | 68.3B | 102.6B | 36.9B |
| EPS | 73.5 | 110.5 | 39.8 |
| BPS | 474.0 | 523.1 | 370.4 |
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ENEOSホールディングス㈱ | 0.42% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505325(常任代理人 ㈱みずほ銀行決済営業部) | 0.03% |
| MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券㈱) | 0.03% |
| BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNYM GCM CLIENT ACCTS M ILM FE(常任代理人 ㈱三菱UFJ銀行) | 0.02% |
| GIC PRIVATE LIMITED-C(常任代理人 ㈱三菱UFJ銀行) | 0.01% |
| 日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口) | 0.01% |
| NOMURA INTERNATIONAL PLC A/C JAPAN FLOW(常任代理人 野村證券㈱) | 0.01% |
| 楽天証券㈱ | 0.01% |
| JP JPMSE LUX RE UBS AG LONDON BRANCH EQ CO(常任代理人 ㈱三菱UFJ銀行) | 0.01% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC)(常任代理人 ㈱三菱UFJ銀行) | 0.01% |
| 日付 | 提出者 | 保有割合 | 変動 |
|---|---|---|---|
| 2025-04-03 | ENEOSホールディングス株式会社 | 42.38% | (7.52%) |
| 2025-03-27 | ENEOSホールディングス株式会社 | 49.90% | +49.90% |
| 日付 | ソース | カテゴリ | アクター | イベント | 株価 | 翌日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-03-10 | TDNet | その他 | JX金属 | ひたちなか新工場における半導体用スパッタリングターゲットの増産に向けた設備投資(固定資産の取得)に関 | 3,920 | +6.79% |
| 2026-03-10 | TDNet | その他 | JX金属 | カセロネス銅鉱山運営会社SCM Minera Lumina Copper Chile 株式の一部譲渡 | 3,920 | +6.79% |
| 2026-02-25 | TDNet | M&A | JX金属 | JX金属株式会社による東邦チタニウム株式会社の完全子会社化に関する株式交換契約(簡易株式交換)及び経 | 4,145 | -0.07% |
| 2025-11-11 | TDNet | 決算 | JX金属 | 2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結) | 1,960 | -0.97% |
| 2025-11-11 | TDNet | 業績修正 | JX金属 | 通期業績予想の修正に関するお知らせ | 1,960 | -0.97% |
| 2025-11-11 | TDNet | 業績修正 | JX金属 | 剰余金の配当(中間配当)の決定および期末配当予想の修正に関するお知らせ | 1,960 | -0.97% |
| 2025-11-11 | TDNet | IR | JX金属 | 2026年3月期第2四半期 決算説明資料 | 1,960 | -0.97% |
| 2025-11-11 | TDNet | その他 | JX金属 | 銅精鉱の購入・電気銅等の販売に係る事業の統合に関する基本合意書の締結について | 1,960 | -0.97% |
| 2025-10-08 | TDNet | その他 | JX金属 | 結晶材料の増産に向けた設備投資(固定資産の取得)の追加に関するお知らせ | 2,188 | -2.33% |
| 2025-09-26 | TDNet | その他 | JX金属 | 金属・リサイクル事業におけるリサイクル原料の増処理に向けた設備投資(固定資産の取得)に関するお知らせ | 1,792 | +5.89% |
| 2025-08-29 | TDNet | その他 | JX金属 | 当社株式の貸借銘柄選定に関するお知らせ | 1,364 | +1.72% |
| 2025-08-05 | TDNet | 決算 | JX金属 | 2026年3月期第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結) | 885 | +10.17% |
| 2025-08-05 | TDNet | 業績修正 | JX金属 | 通期業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ | 885 | +10.17% |
| 2025-08-05 | TDNet | IR | JX金属 | 2026年3月期第1四半期決算説明資料 | 885 | +10.17% |
| 2025-08-05 | TDNet | M&A | JX金属 | 株式報酬制度(RS信託)における株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ | 885 | +10.17% |
| 2025-07-23 | TDNet | その他 | JX金属 | 結晶材料の増産に向けた設備投資(固定資産の取得)に関するお知らせ | 862 | +1.93% |
| 2025-07-18 | TDNet | その他 | JX金属 | 経済産業省による半導体用スパッタリングターゲットに係る供給確保計画の認定について | 836 | +1.64% |
| 2025-06-27 | TDNet | その他 | JX金属 | 支配株主等に関する事項について | 810 | -0.37% |
| 2025-04-03 | EDINET | 大量保有 | ENEOSホールディングス株式会社 | 大量保有 42.38% | 844 | -5.45% |
| 2025-03-27 | EDINET | 大量保有 | ENEOSホールディングス株式会社 | 大量保有 49.9% | 930 | -1.61% |