Activist Journal — EDINET 大量保有報告モニター

株式会社エーワン精密 (6156)

エーワン精密は、小型自動旋盤用コレットチャック、切削工具の再研磨・特殊工具製造、自動旋盤用カムを製造販売する。精密部品加工の多品種少量生産ニッチ分野に特化し、消耗工具の受注生産でリピートオーダーを確保するビジネスモデル。50年超の経験と熟練社員による高品質・短納期対応力、高精度設備、長期顧客基盤が競争優位性となり、他社比で高い利益率体制を確立する。加工難易度の高い精密部品加工需要の増加に対応する。 [本社]東京都府中市 [創業]1970年 [上場]2003年

1. 事業概要と競争優位性

エーワン精密は、コレットチャック、切削工具、自動旋盤用カムの三部門で事業を展開する。

コレットチャック部門は、CNC自動旋盤用コレットチャック・ガイドブッシュを製造販売する。50年を超える実績と経験に基づき、加工に適した工具の設計・製作に注力し、顧客から信頼される工具を提供する。機械稼働中に断続的に開閉を繰り返すため、繰り返し精度と耐久性が求められる消耗工具であり、工具の信頼性、設計・製作の柔軟性、納期の迅速性が重要となる。

切削工具部門は、市販切削工具の再研磨と特殊切削工具の製造・販売・再研磨を行う。市販工具の再研磨では、新品工具メーカーと同等の高精度研削盤を導入し、メーカーと同じレベルで再研磨を価格を抑え、納期を短縮して提供する。特殊切削工具は、一品一様で短納期対応が求められ、大手・中小メーカーが対応困難な分野であり、同社の競争力が発揮される。

自動旋盤用カム部門は、カム式自動旋盤用カムの製造販売を行う祖業であり、カム供給メーカーがほとんどなくなったニッチ市場で事業を継続する。

同社の扱う機械工具は消耗品であり、リピートオーダーにより継続的な受注が可能な受注生産モデルである。精密部品加工に使用される工具を中心とした多品種少量生産品のニッチ分野に特化する。

競争優位性(Moat)として、長年にわたるニッチ分野特化で培われた熟練社員による生産効率向上、生産ノウハウの醸成、累計設備台数による償却費低減と固定費抑制が挙げられる。これにより、他社に比べて高い利益率を達成できる体制を確立する。長期にわたり積み上げた顧客基盤と、「高品質、短納期」を実現する対応力が顧客ロックインに寄与する。特殊切削工具分野では、大手・中小メーカーが対応困難な領域で競争力を発揮する参入障壁を築く。

2. 沿革ハイライト

1970年9月、有限会社エーワン精密を設立し、スイス型自動旋盤用カムの設計、製作、販売を開始する。1977年3月、小型自動旋盤用超硬付コレットチャック等の販売を開始する。1990年7月、株式会社エーワン精密を設立し、旧エーワン精密の事業を営業譲受する。1999年11月、切削工具部門の受注を開始し、コレットチャック部門でISO9002認証を取得する。2003年3月、日本証券業協会へ店頭登録し、株式を上場する。2007年11月、特殊切削工具の製作・販売を開始する。2022年4月、東京証券取引所の市場区分見直しにより、スタンダード市場へ移行する。

3. 収益・成長

同社の売上高は、2025年6月期(prior2)1,755,258千円から、2025年6月期(prior1)1,601,549千円、2025年6月期(current)1,590,845千円と推移する。営業利益は、2025年6月期(prior1)164,557千円から、2025年6月期(current)84,655千円に減少する。純利益は、2025年6月期(prior2)191,935千円、2025年6月期(prior1)120,523千円に対し、2025年6月期(current)は-221,288千円の赤字を計上する。これは、当事業年度において切削工具部門で446,633千円の減損損失を計上したことによる。

成長ドライバーとして、加工難易度の高い、複雑で精密な部品の増加が挙げられる。特に特殊切削工具の需要は、製造業における部品の複雑化、材料の難削化、加工難易度の上昇により伸びており、同社の競争力が発揮される分野である。これに対応するため、新規の高精度設備の導入、加工精度向上の探求、加工者のスキルアップ、人材育成、生産効率化に取り組む。

事業リスクとして、顧客企業の機械稼働率や景気変動、機械業界の動向による受注変動がある。切削工具部門では競合増加による価格競争激化のリスク、自動旋盤用カム部門ではカム式自動旋盤の生産停止に伴う受注減少が継続する。輸出販売高比率は約10%であり、アジア経済情勢、為替変動、地政学リスク、貿易規制が業績に影響を与える可能性がある。

4. 財務健全性

同社の総資産は、2025年6月期(prior2)9,206,592千円、2025年6月期(prior1)8,946,659千円、2025年6月期(current)8,058,590千円と推移する。純資産は、2025年6月期(prior2)8,431,111千円、2025年6月期(prior1)8,188,452千円、2025年6月期(current)7,485,347千円と推移する。自己資本比率は、2025年6月期(prior2)91.57%、2025年6月期(prior1)91.52%、2025年6月期(current)92.89%と極めて高い水準を維持しており、強固な財務基盤を持つ。現金及び現金同等物は、2025年6月期(current)433,389千円である。有利子負債の記載はない。

5. 株主還元

同社は「株主に対して適切な還元を続けていく」ことを経営方針とする。年間配当は、2025年6月期(prior2)100.0円、2025年6月期(prior1)100.0円、2025年6月期(current)100.0円と安定的に実施する。当期は純損失を計上したが、配当を維持した。適切な投資と株主還元のバランスをとることを課題とする。

6. 注目ポイント

エーワン精密は、精密部品加工における多品種少量生産のニッチ分野に特化し、長年の経験と熟練社員による技術的優位性、生産ノウハウ、強固な顧客基盤を競争優位性とする。消耗品である機械工具の受注生産モデルは、リピートオーダーによる安定的な収益基盤を構築する。加工難易度の高い精密部品需要の増加は、特に特殊切削工具部門の成長ドライバーとなる。当期に切削工具部門で減損損失を計上したが、コレットチャック部門と切削工具部門への設備投資は継続しており、競争力強化を図る。極めて高い自己資本比率に裏打ちされた財務健全性は、機動的な設備投資や人材確保・育成を可能にする。海外市場の動向や地政学リスク、競合による価格競争の激化には引き続き注視が必要である。

出典: 有価証券報告書 (2025-06) doc_id=S100WQRX | 生成: gemini-2.5-flash (2026-03-21)

主要指標

時価総額 PER PBR 配当利回り 終値
10.1B 1.3倍 0.1% 1,910.0円

業績(3期)

current prior1 prior2
売上高 1.6B 1.6B 1.8B
営業利益 85M 165M 276M
純利益 -221M 121M 192M
EPS -44.1 24.0 38.3
BPS 1,491.0 1,632.3 1,684.4

大株主

株主名持株比率
株式会社致知0.25%
株式会社日本カストディ銀行 (信託口)0.04%
肥田 亘0.02%
竹内 忠夫0.02%
大嶋 武司0.01%
大橋 逸夫0.01%
佐藤 美喜夫0.01%
横山 和也0.01%
湯舟 吉人0.01%
室田 武師0.00%

大量保有報告書

日付提出者保有割合変動
2024-06-05アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド 5.00%(1.01%)
2024-05-27アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド 6.01%(1.01%)
2024-05-14アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド 7.02%(1.02%)
2024-04-25アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド 8.04%(1.05%)
2024-04-04アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド 9.09%(1.07%)
2024-03-15アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド 10.16%+1.38%
2023-09-25シンプレクス・アセット・マネジメント株式会社 4.13%(1.01%)
2022-12-22シンプレクス・アセット・マネジメント株式会社 5.14%(1.04%)
2022-07-07シンプレクス・アセット・マネジメント株式会社 6.18%(2.04%)
2021-08-13アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド 8.78%--
2021-07-05アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド 8.78%+2.48%

カタリスト・タイムライン

日付ソースカテゴリアクターイベント株価翌日
2025-10-28TDNetその他エーワン精密譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分の払込完了に関するお知ら1,786-0.28%
2025-09-29TDNetその他エーワン精密譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に関するお知らせ1,787-0.62%
2025-08-04TDNet業績修正エーワン精密特別損失(減損損失)の計上及び通期業績予想の修正に関するお知らせ1,716+0.06%
2024-06-05EDINET大量保有アセット・バリュー・インベスターズ・リミ大量保有 5.0%
2024-05-27EDINET大量保有アセット・バリュー・インベスターズ・リミ大量保有 6.01%
2024-05-14EDINET大量保有アセット・バリュー・インベスターズ・リミ大量保有 7.02%
2024-04-25EDINET大量保有アセット・バリュー・インベスターズ・リミ大量保有 8.04%
2024-04-04EDINET大量保有アセット・バリュー・インベスターズ・リミ大量保有 9.09%
2024-03-15EDINET大量保有アセット・バリュー・インベスターズ・リミ大量保有 10.16%
2023-09-25EDINET大量保有シンプレクス・アセット・マネジメント株式大量保有 4.13%
2022-12-22EDINET大量保有シンプレクス・アセット・マネジメント株式大量保有 5.14%
2022-07-07EDINET大量保有シンプレクス・アセット・マネジメント株式大量保有 6.18%
2021-08-13EDINET大量保有アセット・バリュー・インベスターズ・リミ大量保有 8.78%
2021-07-05EDINET大量保有アセット・バリュー・インベスターズ・リミ大量保有 8.78%