**1. 事業概要と競争優位性**
株式会社一蔵は、和装事業とウエディング事業を主軸に展開する。
和装事業は、呉服や振袖の販売・レンタル、成人式の前撮り写真撮影、着付け・ヘアメイク、きものの着方教室の運営等を行う。この事業における競争優位性は、デザインから生地選定、製造、販売まで一貫して行う「振袖のSPA化」に成功し、顧客の好みに応じた商品を価格を抑えて提供することで競合他社との差別化を図る点にある。また、成人式用の振袖等を購入した顧客に対し、自社フォトスタジオでの前撮り、成人式当日のメイク・着付け等を提供する「ワンストップサービス」を展開し、顧客の利便性を追求する。きもののお手入れ全般を担う「悉皆サービス」も提供し、顧客との長期的な関係構築を図る。さらに、きもの着方教室「いち瑠」の運営やイベント開催を通じて、きものを着る機会を提供し、きものファン拡大と潜在ニーズの掘り起こしに努める。販売チャネルは直営店「一蔵」「オンディーヌ」「銀座いち利」、加盟店、特約店、通信販売「いち利モール」、催事と多岐にわたる。
ウエディング事業は、結婚式場の運営、挙式・披露宴の企画・立案・運営、パーティードレス・ウエディングドレスのレンタル等を行う。この事業の競争優位性は、「本物志向のファシリティ」と「ソフトの内製化」に集約される。結婚式場の建築にあたっては、欧州から本物の調度品や美術品を調達し、歴史的な建築や技法をモチーフにするなど、一過性の価値観に頼らない「美」と「豊」を追求する。また、料理、装花、美容、写真撮影、アルバム等フォト製品の企画・開発といったサービスを社内で内製化し、専門スタッフが直接顧客と打ち合わせを行うことで、顧客の細かなこだわりに対応し、高品質かつきめ細やかなサービス提供を実現する。2019年3月には中国上海に結婚式場を開業し、2022年9月には2施設目を開設。年間の婚姻件数が日本の約15倍に及ぶ中国市場において、日本企業による希少な結婚式場として、本物志向の内装と「おもてなし」を重視したサービスで事業定着を図る。
**2. 沿革ハイライト**
1991年2月、埼玉県大宮市にて呉服の販売を目的として設立された。1995年4月には株式会社オンディーヌを買収し、レンタル事業に進出。2000年9月には英国式結婚式場「キャメロットヒルズ」を開設し、ウエディング事業を開始した。2008年9月にはきもの産地直送スタイル「銀座いち利」ときもの着方教室「いち瑠」を開設し、事業領域を拡大。2015年12月に東京証券取引所市場第二部に上場し、2016年12月には市場第一部へ指定された。2017年11月には中国上海市に現地法人を設立し、2019年3月には中国初の結婚式場「嘉美麓徳高端婚礼会館」を、2022年9月には2施設目を開業し、海外展開を本格化させた。2022年4月には東京証券取引所の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行している。
**3. 収益・成長**
直近の連結売上高は19,932,772千円、営業利益は123,353千円、経常利益は105,507千円、親会社株主に帰属する当期純利益は96,945千円である。
和装事業の成長ドライバーは、集客性の高いショッピングモール等への出店、悉皆・リペア事業への注力、写真館・美容室との提携強化、O2O戦略推進、きもの着方教室の展開によるきものファン拡大と潜在ニーズ掘り起こし、SPA強化による価格競争力向上、ワンストップサービス戦略推進による顧客利便性向上である。少子化に伴う若年層減少に対しては、人口が集中する首都圏の大学・高校集中ターミナルへの出店や、着方教室分校を活用した振袖催事、ソーシャルメディア活用による認知度向上で受注拡大を図る。
ウエディング事業の成長ドライバーは、コンシェルジュ、コンダクターから料理、写真、装花、美容など各セクションの内製化によるプロデュース体制の維持・強化、中国におけるウエディング事業の定着、トレンドに合わせたプラン提供、広告強化である。既存式場のリニューアル・改装による稼働率維持・向上、大人数挙式の魅力アピールによる挙式単価引き上げ、WEB広告やSNS活用による集客力・成約率向上、外部集客イベントへの参画による知名度アップも推進する。
一方で、和装・ウエディング市場の縮小傾向、少子化問題、競合激化、成人の年齢引き下げといった事業環境リスクが存在する。これに対し、SPA強化やワンストップサービスによる差別化、きものファン拡大、本物志向の施設と内製化サービスによる高品質提供で需要喚起と事業拡大に努める。
**4. 財務健全性**
直近の連結総資産は20,000,834千円、純資産は4,376,741千円である。有利子負債は5,973,691千円に対し、現金及び現金同等物は978,297千円である。
**5. 株主還元**
直近の年間配当は14.0円である。
**6. 注目ポイント**
同社は、和装事業における振袖のSPA化とワンストップサービス、ウエディング事業における「本物志向のファシリティ」と「ソフトの内製化」を核とする高品質サービスにより、競合他社との差別化を図る。特に、中国市場でのウエディング事業展開は、日本の約15倍の婚姻件数を誇る巨大市場への参入であり、今後の成長ドライバーとして注目される。少子化や市場縮小といった国内の逆風に対し、独自の競争優位性と海外展開で持続的な成長を目指す戦略が特徴である。
[本社]埼玉県さいたま市北区 [創業]1991年 [上場]2015年
| 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 2.1B | — | 0.5倍 | 0.0% | 387.0円 |
| current | prior1 | prior2 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 19.9B | 20.4B | 19.7B |
| 営業利益 | 123M | 266M | 554M |
| 純利益 | -97M | 629M | 597M |
| EPS | -17.6 | 114.1 | 108.3 |
| BPS | 793.8 | 822.0 | 724.4 |
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 河端義彦 | 0.49% |
| 一蔵従業員持株会 | 0.04% |
| 白石隆治 | 0.04% |
| 原田 始 | 0.02% |
| 萩原雄二 | 0.01% |
| 岩渕 拓 | 0.01% |
| 山本俊輔 | 0.01% |
| 石原 勝 | 0.01% |
| 外山昌男 | 0.01% |
| 秋山秀健 | 0.01% |
| 日付 | 提出者 | 保有割合 | 変動 |
|---|---|---|---|
| 2021-04-22 | SMBC日興証券株式会社 | 4.94% | (1.06%) |
| 2021-04-07 | SMBC日興証券株式会社 | 6.00% | +6.00% |
| 日付 | ソース | カテゴリ | アクター | イベント | 株価 | 翌日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025-08-21 | TDNet | その他 | 一蔵 | 譲渡制限付株式報酬としての新株式の払込完了に関するお知らせ | 398 | -0.75% |
| 2025-07-22 | TDNet | 資本政策 | 一蔵 | 譲渡制限付株式報酬としての新株式発行に関するお知らせ | 396 | -0.51% |
| 2021-04-22 | EDINET | 大量保有 | SMBC日興証券株式会社 | 大量保有 4.94% | — | — |
| 2021-04-07 | EDINET | 大量保有 | SMBC日興証券株式会社 | 大量保有 6.0% | — | — |