井関農機は、稲作・野菜作等の農業機械をグローバルに開発・製造・販売する総合専業メーカーである。国内初の有人監視型ロボットトラクタやマルチ対応じゃがいも植付機を投入し、技術優位性を確立。特許分野でも国内上位を維持する。国内農業の大規模化や海外事業拡大に対応し、「大型」「先端」「環境」「畑作」分野へ経営資源を集中。PBR1倍以上を目指す「プロジェクトZ」で抜本的構造改革を推進し、持続的成長と企業価値向上を図る。
[本社]東京都荒川区 [創業]1936年 [上場]1960年
1. 事業概要と競争優位性
井関農機株式会社は、稲作や野菜作等に関連する農業機械の開発、製造、販売をグローバルに展開する総合専業メーカーである。事業は「開発・製造」「販売」「その他」の3部門で構成され、海外売上高比率は3割を超える。2025年に創立100周年を迎える当社は、長年の知見と経験を基盤に競争優位性を構築している。技術面では、国内初の『有人監視型ロボットトラクタ』やマルチ対応乗用じゃがいも植付機を市場投入し、高精度な自動運転、軽労化、作業効率向上に貢献している。研究開発では、ICT・ロボット技術を活用したスマート農業、脱炭素・循環型社会に向けた電動化や水素活用技術に注力している。市場を独占するレベルの技術を「スーパー・アイ」と位置づけ、競争優位性と収益向上を目指す。知的財産戦略も重視し、2023年度は日本における分野別登録数で第2位を維持するなど、先端技術に関する発明提案が全体の約6割を占めている。
2. 沿革ハイライト
1926年8月、「井関農具商会」を創立し、自動籾すり選別機の製造を開始した。1936年4月に井関農機株式会社を設立し、1960年7月に大阪証券取引所、1961年6月に東京証券取引所に上場した。1967年3月には田植機、コンバイン、バインダの生産を開始し、稲作機械化一貫体系を確立。その後、国内販売会社の統合により全国的な販売網を構築した。海外展開も積極的に進め、2012年にPT.ISEKI INDONESIAを設立、2014年にISEKI France S.A.Sを買収、2022年にはIseki-Maschinen GmbHを連結子会社化している。2022年4月には東京証券取引所のプライム市場へ移行した。近年では、2024年7月に製造子会社を統合し㈱ISEKI M&Dを設立、2025年1月には国内販売会社7社を統合し㈱ISEKI Japanを設立するなど、事業構造改革を推進している。
3. 収益・成長戦略、財務健全性、株主還元
当社グループは、食料安全保障や食への関心の高まりを背景に、農業や景観整備事業をエッセンシャルビジネスとして重要視している。中長期的な経営戦略として「『食と農と大地』のソリューションカンパニー」を掲げ、持続的な成長と企業価値向上を目指す。成長ドライバーとして、国内外の成長市場へ経営資源を集中する。海外では、プレゼンスと収益力の高い欧州での事業拡大を加速させ、2025年1月には英国販売代理店を連結子会社化し、販売テリトリー拡大や取扱商材拡充を進める。国内では、「大型」「先端」「環境」「畑作」といった成長分野へ経営資源を集中し、販売を強化する。㈱ISEKI Japan内の「大規模企画室」が中心となり、大規模農家へのソリューション提供を通じて新規顧客獲得を目指す。また、「みどりの食料システム戦略」への対応として、可変施肥機能搭載農機や有機農業に資する商材の提供も推進している。
現状の収益性と資産効率の課題に対し、2027年までに連結営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上、PBR1倍以上を目標としている。この目標達成に向け、2023年11月14日付で「プロジェクトZ」を設置し、抜本的構造改革と成長戦略を立案・実行している。具体的には、生産拠点・機種の再編による生産最適化、機種・型式30%以上集約と成長分野への開発リソース集中による開発最適化、国内販売会社統合による国内営業深化を進める。これらの施策により、2025年下期より製品利益率改善効果の発現、2027年の改善目標達成を目指している。
出典: 有価証券報告書 (2024-12) doc_id=S100VI8J | 生成: gemini-2.5-flash (2026-03-20)